月夜に笑った悪魔
「私は日南美鈴、改めてよろしく」
「俺は芦田 隼人(あしだ はやと)!よろしく、すず!……って、美鈴って呼んだほうがいい?」
「なんでもいいよ。呼びやすいように呼んで」
「ん~。じゃあ美鈴、って呼ぼうかな!せっかく本名知れたし!」
「うん。隼人は、やっぱり本名なんだね?」
「あぁ!偽名とか考えるのもめんどかったし、いいやーって」
隼人らしいといえば、らしい。
「ねぇ、昔のことなんだけどさ。そういえばなんで隼人はあの公園に突然来なくなったの?」
これは、ずっと気になっていたこと。
当時中学生の私にとって、同じように家出をしていた隼人は仲間みたいで嬉しかった。
はじめてできた仲間だったから……ある日突然、来なくなって本当に悲しかった記憶。
私がなにかしてしまったかもしれない、ともちゃんと考えたけどなにもわからなかった。
……こうしてまた会えて、話してくれるってことはきっとそれはちがうんだろう。