月夜に笑った悪魔
私のこと好きになる要素なんてあった!?
目の前で吐いた女だよ!?しかも黒服を汚したんだよ!?
昨日会ったばっかりなのに……好き!?
頭がパニック状態。
「そ、そんな、ご冗談を……」
どうしても信じられなくてまたまた、あははと笑うが。
「冗談じゃねぇよ」
至近距離で、まっすぐに見つめられる。
真剣な瞳。
この瞳に嘘は感じられない。
この人は本気だ。
本気で私のことを……。
「どうでもいい女を嫁にしようとか思わねぇから。
こんなカタチでも、おまえが手に入って俺は嬉しいと思ってる」
目の前の私に近づいて……頬に、キスをひとつ。
柔らかい感触。
それは、一瞬触れるだけですぐに離れて。
ドキドキと心臓が加速。
キスされたところから、身体中に熱がまわる。
こんなにドキドキするのは、目の前のこの人の色気がすごいから。
それと……あまりにも優しい表情をするものだから。