月夜に笑った悪魔
「美鈴、端にいろ」
ネクタイをさらに緩めながら暁は私を見て。
体を押して端に寄せると、殴りかかってくる人たちの相手。
一条組と月城組は、もうこれ以上争ってはだめだ。
一条組だけでも争わないと決めたのなら、尚更。
……でも、そう思っても逃げる手段もなく。
今の状況では応戦するしかない。
戦わないと、こっちがやられるんだから……。
……どうすればいいんだ。
暁に万が一のことがあったらと考えると怖い……。
響き渡る鈍い音。
苦しそうな声。
暁は拳を避けて、相手のみぞおちに自分の拳を入れ次々に倒していく。
彼に隙など一切ない。
背後にまわった人の攻撃もとめ、瞬時に倒してまた次の相手をして。
私に近づいてきた人たちにもすぐに気づき、首根っこをつかむと遠ざけてくれる。