月夜に笑った悪魔


この近くにもほかに月城組がいるかもしれないし……暁を眠らせてしまった今、彼を守れるのは私だけ。


……なにか、武道でも習っておくんだった。
とりあえず、この人たちが起きる前に早くここから移動しないと……っ!!





そう思い暁の腕を自分の肩にまわして歩こうとしたが、意識を失った人間はとんでもなく重く。


それでも精一杯がんばって歩くが、フラフラしてしまう。


暁は背丈もあるし、筋肉があるから余計に重い。


今だけ少し暁の背が縮んでくれないかな、なんていうのは誠実な願いだ。




……急がないと。
急がないと、誰か来ちゃう……っ。



路地裏を曲がって曲がって。
とにかく身を隠せそうなところを探す。

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