月夜に笑った悪魔


足を動かさずにまた必死に頭をフル回転させていると、女性はなぜかスーツのジャケットの内側に拳銃をしまい。


1歩、2歩とこっちに近づいて、私の目の前で立ちどまった。




「逃げようと思わないこと。いい?あなたたち、私が見逃しても今の状況じゃ確実にすぐ死ぬわよ?」


そう言われて、否定できない。


「……っ」
「わかったらついて来なさい」



目を見つめて強く言われたあと。
女性は……なんと、暁の左腕を自分の肩にまわして体を支えた。



「早く歩いて」


予想外な行動。
びっくりして固まっていればまた強く言われ。


私は足を動かして言われるまま歩いた。

< 534 / 615 >

この作品をシェア

pagetop