月夜に笑った悪魔
足を動かさずにまた必死に頭をフル回転させていると、女性はなぜかスーツのジャケットの内側に拳銃をしまい。
1歩、2歩とこっちに近づいて、私の目の前で立ちどまった。
「逃げようと思わないこと。いい?あなたたち、私が見逃しても今の状況じゃ確実にすぐ死ぬわよ?」
そう言われて、否定できない。
「……っ」
「わかったらついて来なさい」
目を見つめて強く言われたあと。
女性は……なんと、暁の左腕を自分の肩にまわして体を支えた。
「早く歩いて」
予想外な行動。
びっくりして固まっていればまた強く言われ。
私は足を動かして言われるまま歩いた。