月夜に笑った悪魔


そして指示されたほうへと歩いていけば、見えた黒のワゴン車。


女性はそのワゴン車のドアを開けて。
暁を押し込むと、続いて私の背中を押し車へと乗せた。




カーテンが閉められている、薄暗い車内。
月城組の人がだれかいるのかと思ったが、車内はすごく静か。


……だれもいないの、かも。




「暁……」


私は座席シートに寝かされた暁の顔を見た。


彼の目はつむったまま。
一度麻酔を打ってしまえば、2、3時間は起きないらしいから……まだまだ目を覚まさない。



暁の顔についている赤い血。
これは、返り血だ。


私はそれを自分の袖で拭って、彼の手を強く握った。



ごめんね、暁……。
暁が守ってくれたのに、寝てる間にこんなことになっちゃって……。

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