月夜に笑った悪魔
そうしたすぐあと──。
「おねーさんっ!」
急にうしろから出てきて、私に抱きついてきた小さな人物2人。
その2人を見て、目を疑った。
車内は薄暗いけど、だれだかわかる。
この声と、この小ささ……未玖ちゃんと、巧くんだ。
「ふ、2人はなんでここに!?」
思わず大きな声が出る。
だって、こんな状況信じられない。
ここで2人に会えるなんて思いもしなかったから……。
「シノが連れてきてくれたの!」
「シノはなかま……。なかま、増えた……」
未玖ちゃんと、巧くんは笑顔で答える。
シノ?
仲間?
「……え?」
急にいろんなことが起こりすぎて脳内がパニックに。
状況がまったくわからない。
「い、一条組の若頭……だいじょうぶ?」
動かない暁に向けられた視線。
私は未玖ちゃんと巧くんに「寝てるだけ」とひと言返した。