月夜に笑った悪魔


って、本当にこんなことしてる状況じゃないんだってば……!



今度は彼の口元にペットボトルの飲み口をつけ、傾ける。



本当に喉が乾いていたのかごくごくと彼は飲んで。
ちょうどよさそうなタイミングでペットボトルを彼から離した。



……あんなワガママ言ってもやっぱり普通に飲めるじゃんか。


そんなことを思いながら彼の口の端から垂れた水を袖で拭った。




ペットボトルのキャップを閉めたあと、車内に響いたのはバイブ音。



一度鳴ったかと思えば鳴りやんで、またすぐに鳴り響く。


それは私のスマホの音ではない。
私のスマホは……充電していなかったせいで、充電が切れてしまったから。

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