月夜に笑った悪魔
男性はピタリと動きを停止。
「どきなさい」
その男性の首根っこをつかんで、車からおろす紫乃。
「へ、変なマネしたら撃つから……っ」
私は助手席に移動して、男性に銃を向け続ける。
男性が動きを停止している間に、紫乃は未玖ちゃんと巧くんを車に乗せると、自身も車に乗り。
エンジンをかけて、すぐに走り出す車。
……私は、ゆっくり銃を手から離した。
震える手。
……こんなもの、持ったのははじめて。
一生持つことはない、と思っていたけれど……。
本当に、人生はなにが起こるかわからないものだ。