月夜に笑った悪魔


男性はピタリと動きを停止。


「どきなさい」


その男性の首根っこをつかんで、車からおろす紫乃。


「へ、変なマネしたら撃つから……っ」


私は助手席に移動して、男性に銃を向け続ける。


男性が動きを停止している間に、紫乃は未玖ちゃんと巧くんを車に乗せると、自身も車に乗り。
エンジンをかけて、すぐに走り出す車。






……私は、ゆっくり銃を手から離した。


震える手。


……こんなもの、持ったのははじめて。
一生持つことはない、と思っていたけれど……。


本当に、人生はなにが起こるかわからないものだ。

< 562 / 615 >

この作品をシェア

pagetop