月夜に笑った悪魔


……暁だ。
この声、この手は、暁のもの。




う、動けるの!?

なんて思った、が。


「……っ」


暁の手から落ちた拳銃。
彼の体は、力が抜けたように倒れていった。


「暁……っ!!」


動けるようになったわけじゃない。
……無理して動いていたんだ。




「は、ははっ、バカなやつ──」


目の前の男性が笑った時に、聞こえてきた鈍い音。


開いたドアから見えたのは……紫乃が突きつけられた拳銃を取り上げて、男性を背負い投げしている姿。


その音で驚いて振り返る男性。

私はすぐに暁がさっきまで持っていた拳銃を手に取って。



「う、動かないで……っ」


それを、男性に向けた。

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