月夜に笑った悪魔
ドクリと心臓が音を立てる。
“銃”と聞こえてきたから。
……やっぱり、私たちと一緒にいるという情報はこっちにまでもう伝わっていたのか。
紫乃が危ない……っ。
「稲森、知らないとでも思ってるのか。……おまえが月城組を裏切った、という報告は入っている。稲森、おまえは一条暁と日南美鈴といたんだろ」
男性の低い声。
この声ははじめて聞いた声で、月城組組長や月城岳のものではない。
「未玖様を利用してまで、おまえはなにを企んでる」
「……私は、一条組と月城組の抗争をとめたいだけ」
「なにを言ってる、今さらそんなこと……」
「組長も、岳様も……もうこれ以上傷ついてほしくない。それだけじゃない、私はこの月城組の組員にもだれも死んでほしくない。だれも失いたくないから戦いをやめたいの」
「月城組は負けるわけがない。組長と若頭がいれば無敵だ。そしてその勝利をつかむため、俺たち部下が死ぬことは名誉なことだ」