月夜に笑った悪魔


これからどうしよう。


……言わなければこのままでいられる、かもしれない。
和正は、私があの光景を目撃したなんて夢にも思っていないだろうから。


でも私は……無理だよ。
あんなの見たらもう帰れないよ。心が痛くて、なにごともなかったかのようにいつも通り一緒に過ごすなんて無理。


和正が浮気したということは、私は……いらなくなったということ。


他の女の子を好きになってしまったのなら、拾ってもらった身の私は……諦めるしかない。


和正は優しいから他の女の子を好きになってしまっても、孤独な私に言うことができなかったのかな。


……幸せになってもらいたい。
和正には、拾ってもらった恩があるから。


彼は私のことなんて気にしちゃだめだ。
このまま和正と関係を続けてもお互い辛いだけだし……もう、私が姿を消すしかない。


……そう思っても、ほかに行くあてもお金も、頼れる人もいない。
本当にどうしよう、これはかなり深刻な問題だ。





日南 美鈴(ひなみ みすず)、17歳にして……まさかのホームレス。

< 7 / 615 >

この作品をシェア

pagetop