トルコキキョウ 〜奈月と流奈を繋ぐ花〜
沢山並んでいる洋服の中から迷わずに取り出した1枚の洋服。
こないだ美香と買い物行った時に買った、色違いのワンピースは最近の中で1番のお気に入りだった。
それを手に取り、今着ている部屋着を脱ぎ捨てると、鏡の前で素早く着替え全身をチェックする。
そして、髪の毛にはいい香りがするミストをふりかけて……
カバンの中には色つきリップを忍ばせた。
「よしっ!!!」
時計を確認すると19時すぎを指していて、私は部屋を飛び出した。
いつもは出かけられない時間の夜に出るスリル。
リップクリームを塗りながら歩いていると、春の夜風を思い切り感じる。
さっき髪の毛にふりかけたミストが、風と共にいい香りとなって私に戻ってくる。
お母さんに少し悪いことをしている気持ちになったけど、足が勝手に、陽平の元へと向かっていた。
果たして陽平はいるのだろうか?
陽平にスケボーをやっている場所を前に聞かされ覚えていたものの、前もって約束をしている訳でもないし。
いつも何曜日の何時からやっているかも知らない。
そんな事を考えながら足が勝手に、その場所へ向かっていた。
どこかで、後ろめたい気持ちを買い物のついでと言い聞かせている自分がいた。