トルコキキョウ 〜奈月と流奈を繋ぐ花〜
いつも通り夕飯がテーブルに運ばれている
そしてお母さんが、味噌汁を温めなおしている時に、私はそっとガス台に近寄った。
少し困ったような顔を作りながら……。
「ねぇ?」
「なにっ?」
バタバタと動いているお母さんを横目で見ながら、私は困った顔を作り続けている。
「お母さん?どうしよう……明日小テストあるのにシャー芯なくなっちゃった!今から買いに行ってもいい?」
「え?!今?お姉ちゃんは持ってるんじゃないの?聞いてきなさいよ!ついでにご飯だから呼んできて!」
その返答に一瞬だけ予定外だ!なんて思ったりもしたけど、
「あ!いや、沢山使っちゃうし……なんか書きやすいシャー芯あるみたいだから自分で選びたいから」と、申し訳なさそうにお母さんの目を見つめる。
すると、ポケットから千円札をだし「ほら!早く行ってきなさい!」と私の目の前に差し出された。
「ありがとう」お札を大事に受け取り、すぐさま部屋へと向かう。
部屋へと入ればクローゼットを開け、鏡の前で服を選んでいる自分の口元は緩んでいた。