トルコキキョウ 〜奈月と流奈を繋ぐ花〜
長いコール音が私を不安にさせる。
いつもはコールの回数で気持ちを確かめたりしている自分は、不安に陥ってしまっていた。
お願い出て……
気が付いたら、そんなことを念じている自分がいて、それでも流奈はきっと私の電話に出てくれるだろうという変な自信もあったりしていた。
「もっしー?奈月!どしたぁ?」
その瞬間、張り裂けそうな胸が一瞬でスーッと楽になって行くのが分かった。
「こないだ教えてもらったからかけてみた」
そう、まるで何でもないかのように、私は冷静を装う。
「何だよ!こんな時間にびっくりしたわ」
「今、外にいるの?なんか騒がしいから」
きっと答えなんて聞かなくたって分かっていた、でも、まだ電話を切りたくない自分がいて、少しでも流奈と会話をしていたかった。
「お!正解〜!カラオケーだよー」
流奈は、いつもよりテンションが高かった、きっとお酒でも飲んでいるんだろうと思わせるほどに……
「そっか!なら電話切るよ!また学校で」
「え?奈月は私に用があったんじゃないの?」
いきなり心配してそうな声に酷く罪悪感が残る、上機嫌な流奈に私の重い話なんて聞いてもらえるわけがない。
「いや……ただのイタズラ電話!」
「………おいっ!!イタズラかいっ!!」
一瞬だけ間が空いた流奈だったけど、気が付けば電話越しに二人で笑い合っていた。
笑いながらもふとした瞬間に、さっきめぐみからら『死ね』と言われた一言が頭の中で繰り返される。
流奈にわからないよう平然を装った
「聞いてる?奈月……?」
「え、聞いてる、聞いてる」
そうこれ以上話していたら私は、流奈の前で取り乱しそうになってしまうだろうと、自ら電話を終わらせようとした。
「じゃあ、楽しんで!!おやすみ〜」
流奈の声を聞く前に、私は電話を切ると、そのまま携帯を握りながら眠りについていた。