トルコキキョウ 〜奈月と流奈を繋ぐ花〜


気づけば朝になっていて、私の顔の傍には携帯電話が転がっていた。

「朝か……」

眠れない日々が続いていた中で、流奈に始めて電話をかけた夜、たった少しの会話だったはずなのに、ぐっすりとよく寝れた。

「睡眠薬かい」

携帯を手に取ると発信履歴を見つめ*流奈*の文字を見ながら自然と笑顔が溢れた。

眠れない夜はいつも、手帳に自分の気持ちを書き殴ることがいつしか習慣になっていて、

改めてそれを開く度、手帳に書かれている滲んでいる文字を見る度、自分は大丈夫なのか……

と自問自答の日々だった。


涙など枯れ果てたと思っていたのに、たまに無性に孤独を感じ頬に自然と涙がつたっていく。


もう何度も孤独な夜は独り涙を流していたのに

こんなにすっきりとした、すがすがしい朝を迎えたことが特別だった。

久々に朝から見上げた空はとても気持ち良くて、なんだかワクワクした気がした。

ただ、この感情が、なんと言うものなのか自分にも分からない。

それでも、今日の私は心から笑える気がした。

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