トルコキキョウ 〜奈月と流奈を繋ぐ花〜


窓から入ってくる風は少し湿っていた。

その風を感じながら、私は不意に入学式の風景を思い出していた。

まだ2カ月ほどしか経っていない新しい記憶

頭の中で鮮明に覚えている

高校の入学式の朝....

冷たい風が吹いていた.....



まだクラスも分からず入学式が行われる体育館を

目指し門をくぐった瞬間

一番最初に威圧感たっぷりに話しかけてきたのは

紫の口紅の子

ーー流奈だったーー

ヤンキーとは、出来れば関わりたくなかったというのが本心だった


そして、1年生は7クラスまであったのに
私たちは自然に引き寄せられるように同じクラス


威圧感を感じながらも
それが次第に興味へと変わっていった


私は流奈をチーターだと思っている

なぜチーターかって?

彼女は足がとてつもなく早い

そしてスラットした体型……

そしてあの獲物を狙った時の動き
目の鋭どさ、洞察力


確実に仕留めるハンター


そう狙った男は必ず落とす
狙った女は必ず潰す

私がチーターと出会ったのは何か運命だったんだ

そして今夜

誕生日は一日違い、血液型は一緒、
おまけに名前の漢字まで一字一緒だったことを知り


運命的なものを感じざるを得なかった

普段、霊とか祖先とか前世とか
深く考えた事がない私だけど、

この偶然は
何かあるんじゃないかと本気で思ったんだ

色んな発見があったお泊まり会は無事に終え
私たちはお互い言うことはなかったけど

強い絆を感じたに違いない


私と流奈の素顔はまだまだ子供

自分の胸の内を全て話せなかったけど

とっても肩が軽くなったような感覚だった


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