トルコキキョウ 〜奈月と流奈を繋ぐ花〜


それから私は春樹と同棲が出来るようにと、バイトの給料から少し貯金するようになっていた。

その目標が出来たからか、物欲も少しづつ減って
スリルも求めずただただ平凡な高校生活を送っていた。

バランスが良く取れていたんだと思う。

自暴自棄になることもなかった。

春樹の愛が心地良くて
そこにどっぷり浸かってるそんな自分もまた好きで、

情緒安定しているこの"普通"を保っていたいと、どこかでずっと見えない影に怯えていたのは確かなとこで……

それに気付かないふりもしていた。


そして、月日はすぎ、とうとうあの日がやってきた。


【奈月ーー!生まれたよーーー!】

そんなメールで幸せをお裾分けされた6月13日。

この世に1人の赤ちゃんが誕生し

そして16歳という若さの一人の新米ママが誕生した。


[出産おめでとう!頑張ったね!]


そうメールを打つ手が震えていたのは言うまでもなく・・・

【ありがとう!ねね!女の子だってーーっ】

[え?なぜ?笑]

ずっと男の子だと言われていたはずが、なんと女の子であった。

びっくりしながらも、無事に生まれてきてくれた事に言葉にならないくらい感動していた。

16歳って体つきはもう大人だけど

やはり未成年

書類上ではまだ籍はいられないそんな2人のもとに小さな命が授かり一つの家族ができた。

「愛」

2人の大切な子の名前

愛で満ち溢れる人生になって欲しいと思いこの名前に決めたのだろう。


雄也くん……

どうか2人を死ぬまで幸せにしてあげてください。

私は心の奥からでは信じていない神さまへ

流奈と、まだ見ぬ小さな愛の幸せを心から祈っていた。

< 173 / 259 >

この作品をシェア

pagetop