トルコキキョウ 〜奈月と流奈を繋ぐ花〜
それから数日経ったころ。
「もう離れよう……」そんな言葉を春樹から告げられた。
会うたびに増えていく喧嘩、言い合い……
情緒不安定な私に彼もきっと限界で愛想尽かしたに違いない。
「分かった、じゃあね」
春樹の一言によってあっさりと別れてしまった。
陽平を失った時と違って
別れを切り出されても、呼吸ができないほどのあの胸の痛みは伴わなくて
春樹を本当に愛していたのかなんて分からなくて、涙さえも出ない自分に驚いてしまいながらもそんな自分が少しだけ怖くなった。
私を愛してくれる春樹をただ好きだったような気さえしてきて、そう考えると、いつからこんな風になってしまったのかと頭を抱えてしまう。
陽平とサヨナラして私は、同い年、同じ学校、童貞。
この3つに該当してる男の人とは付き合わないし、遊ぶことすらしなかった。
陽平と重ねてしまう自分が怖かったし、相手の男の初めてが私だなんて申し訳なく思えてしまうから。
春樹は女性経験はそこそこ豊富だったような話を噂で聞いていたし、元カノは年上だったという話も聞いた。
スマートな振る舞いや話術は女性を手のひらで転がしてるように思えた。
そのせいか過去をさらけ出していない自分の罪悪感に陥ったりはしなかった。
きっと愛されているという保証が欲しかった
それに自分の新しい居場所を確保したくて必死なだけだったのかもしれない。
徐々に、春樹からの愛情のこもった言葉がなくなってしまい寂しくて、愛されなくなってしまった私は、自分の事を大事にすることも出来ずにいた。
自傷行為
私はどんどん自分を汚していった。