トルコキキョウ 〜奈月と流奈を繋ぐ花〜
どんどんエスカレートしていく
そして簡単に堕ちていく……
簡単に這い上がることが出来ない所まで……。
まるで故障した車のように……
15歳の私はエンジントラブル
17歳のいまは廃車同然
ライトも球切れで点灯してくれなく暗いトンネルの中で止まってしまった車
そんな時ドライバーは口を揃えて言うだろう
『最悪だ……終わったと』
そう、私は終わってしまった
仮に修理に出してエンジンを乗せ換えても、再び走り出すことが保証されない車になってしまったんだ。
もう二度と新品同様には戻らない
私は嫌なことは全て頭の片隅に追いやるように、忘れるようにまた荒れ果てた生活をして派手な年上の人達と交流し始めた。
それに比例して、なぜだが流奈にはどこか後ろめたい気持ちになり連絡をどんどん経っていく。
そして、なぜだか葬儀の日からふとした瞬間に陽平の存在が脳裏にちらつき始める
はっきりと思い出すのは陽平の笑顔……
その笑顔を私だけのものにしたかった。
ついこの間まで、春樹との夢を描いてたはずなのに……
「奈月、最近変わったよな……」
春樹の車内で、ぶっきらぼうに伝えてきた春樹に苛立ちを見せながら「なに?春樹まで親みたいなこと言わないでよ!!」なんて気が付いたら大きな声でそう言い返していた。
一瞬で重い空気になり、助手席の窓を開けると一気に入り込んできた風を浴び大きなため息を吐きだした。
その私の姿を見ながら小さくため息を吐く春樹も、もう私に呆れているのだろうと思う。
もうそんなのもどうでも良かった。
「なんかあったのかよ……」
その言葉に下唇を噛みしめ、再び運転している春樹を見つめる。
分かるはずがないのだ、私のこの苦しみは誰にも。
「春樹には関係ない」
カッとなり強い口調と冷めた目で春樹を睨みつけると、一瞬だけ私を見つめ横に首をかしげる
そんな姿、行動すべてが鼻に付く。
「今日は送るわ……」
「言われなくても帰るよ」
無言の車内ほど息苦しいものはなかったが、もう限界だった。
イライラが止まらなくなれば春樹に喧嘩を吹っ掛けるようにまでなって、次第に私たちは一緒にいることが少なくなって行った。