トルコキキョウ 〜奈月と流奈を繋ぐ花〜
「ママ起きて!」
そんな声に重たい瞼を一生懸命あけると、私の顔を覗き込んでいる華がいる。
眠たい目をこすりながらスマホの画面を覗き込むと 6時40分だった。
「まだ朝早いよ?しかも今日は幼稚園お休みなんだよ」
「ケーキ作ったから見てほしいの!」
「え?ケーキ?なんの??」
「ママ今日お誕生日でしょ?!」
そうだったっ!!!
目覚めたばかりの私は上手く頭が回らない……
すっかり自分の誕生日を忘れていた私は幸せいっぱいな気持ちで朝を迎えた。
「こないだ幼稚園でね、先生につくり方教えてもらったの」
目の前にあったものは、粘土で作られた可愛いケーキだった。
「…………ありがとう、華ぁ……」
自然と涙が零れる……
こんなに嬉しい寝起きドッキリは今まであっただろ
「えっ?」
そんな私の涙目を確認した華はティッシュを一枚渡してくれた。
「ママ目が痛いの?」
覗き込む華の瞳は澄んでてすごく綺麗で吸い込まれそうだった。
「ママってね、嬉しい時も涙が出ちゃうんだよ」
「泣き虫ー」
「華〜ぁ、ぎゅーさせてー」
可愛くて愛おしいくて……
両手いっぱいに腕を広げると、私に向かって走って来てくれた。
私は大切に優しく……
けど愛情一杯の力強いハグをした。