トルコキキョウ 〜奈月と流奈を繋ぐ花〜
「奈月っ!!あんな派手な子達と遊ぶのやめなさい!今日、見たのよ駅であなたを!」
「なんで見た目で決めつけるのよ!!!」
「どうして?こんな子になったの?」
「はっ?」
「私の育てかたが間違っていたの?」
「………。」
「言いたいことがあるなら言いなさい!」
そう、まるで、陽平のあとを追うかのように私は変わってしまった。
下駄箱で弥生先輩に話しかけられた日から、先輩たちとつるむようになり、友達もガラッと変わり、隣の中学の子と仲良くなったり、もちろん門限なんて守ることも忘れて……
帰ってくるなりいつも母親とぶつかり合う。
強い口調でぶつかってくる母親、私も負けないくらい睨みつけて言い返す。
だけど、私に向ける母の瞳はとても悲しそうで、それでも気づかないふりをした。
もうそうするしかなかった。
「うるっさい……」
「今帰ってきたのに、どこに行くの?」
「うるさいからだよ」
そう言うと、再び家を飛び出した。
1人で飛び出ても私は独りになんかならない、急ぎ足で駅に向かった。
「奈月~!!戻ってきたのー?」
そう、今の私はこうすることで居場所をどこかに見つけるだけで自分が必要だと感じられる。
自分がいてもいいんだと思える。
「ねぇ、奈月そう言えばこの前男どうした?」
「ああ、付き合ってるよ」
「まじ~!!早いね姉さん」
「おちょくらないで」
そう、私の周りには沢山の友達が溢れていた。
友達?仲間?知り合い?
一体どれに当てはまるのなんて分からなくて、はじめましての人だっている。
「冗談だって~!!」
派手な化粧や服装を好み、眉毛を細くしピアスも自分で開けて毎日駅にたまるようにもなった。
そして暇つぶしで万引きを繰り返したり、駅の公衆電話でテレクラに電話して男を呼び出し、どんな男が来るか見て楽しんでいたり。
「あと少しできっと迎えにくるよ」
「うそ~車持ち?」
「そう」
私はどんどん付き合う友達も変わって、そして年上の彼氏を作り、わがまま言いたい放題で欲の塊の女になって行った。