トルコキキョウ 〜奈月と流奈を繋ぐ花〜


「もしもし!内田ですけど」

気が付けば、そんな社交辞令のような電話の出方をしている自分がなんだかおかしくて笑えた。

「もしもし?内田?」

電話の相手が誰か分かっていながら取る電話なんてなんだか不思議でしょうがない。

「そーだよ!陽平どーしたの?」

「あのさ!一昨日はなんで学校休んだの?」

「え?一昨日?」

「そう、一昨日だよ!」

きっと、心配して電話をかけてきてくれたのだろう、でもなぜ電話なのであろうか。
今日だって、学校で会っているのに……。


「あー!風邪ひいたの」

「なーんだ!風邪はもう大丈夫?明日も来るよね?」

「え、あ、うん!!」

「じゃあ待ってるな」

「あ、ありがとう」


その言葉を言った瞬間、静かに電話がきれた。


耳元でなり続けている、ツーツーと切れたことを知らせる音。


暫く聞きながら、私も静かに受話器を置く。


「なんだ……?」


思いのほか、手短な電話だった。


そして、きっと電話をかけて来る意味が果たしてあったのだろうか?と疑問だけが残る会話のやり取り。

なんだか可笑しくて、笑っている自分がいた。



陽平は、いわいるスケボー少年。


明るくて私服もお洒落で、顔もまあまあカッコいい
綺麗なクッキリ二重まぶたで鼻も高くたまに優しい
陽平を好きだと言っている女子たちの事がなんとなくわかる気がした。

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