愛は惜しみなく与う②
そして言った
「さっきのやつが人を呼んでくる。早かったら5分もかからず人が来る。どこの誰か知らないが、さっさとここから立ち去るんだ」
「おじさんは?」
「おじさん…か。はは…私は少しやることがあるから、もう少しここにいる」
「ボロボロやん。顔色も悪いし。何人来るか分からへんけど、1人では無理やろ」
立ち上がったときは、とても大きくて怖いと思った。でも今は、ヘロヘロのおじさんにしか見えへん
でもあたしの問いには答えずに、おじさんはあたしにもう一度尋ねてきた
「あいつが大事だと言った子だな?」
「だからあいつって誰!話してる暇あったら立ち上がってあたしと逃げるで!」
なんかよー分からんけど、見てしまったからには、この人を置いていくことはあたしにはできひん!
腕を引っ張るあたしの手を、軽く引くおじさん
あたしはそれで少しバランスを崩し、おじさんの隣に膝をついた
そして小さな声で言った
「すまなかったって…伝えておいてくれ。最後にあいつの大事にしてる子に、会えてよかったよ」