愛は惜しみなく与う②

あたしの手を持って、床に倒れ込んでしまう


あいつの大事な人?
脳裏に浮かんだのは泉だ


身体が震えそうになる


「待ってよ、おじさん、泉のお父さんか?なぁ!返事して!」


口元からツーと血が流れている


アホか。信じられへん。なんであたし気づかへんかったんやろ。よう見たら泉に似てるやん!


「聞こえる?聞こえたら反応して」


床にそっと寝かせて胸に耳を当てる。
不規則やけど、呼吸はしてる。少し目がぴくりと動いた

弱々しく呼吸をする


泉が嫌がる父親やから、どんな人かと思って勝手に脳内で想像してたけど…
こんな弱りきってるなんて想像もしてなかった



「かかりつけの医者はおる?車のキーか…なんかない?てか携帯貸して!」


そうや。ゴトウさん!!!!
泉のお父さんの付きの人って新がゆうてた!

横たわるお父さんの服を探って携帯を見つける。指を借りてロックを解除して操作すると、履歴にゴトウと書いてある



「ゴトウさん呼ぶから!まだへばったらあかんで!」


なにさ!会って嫌なやつやったら文句の1つでも言うたろか思ってたのに
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