エリート御曹司と愛され束縛同居
俺と澪の間に恋愛感情はない。


ただほんの少し、この気持ちは恋心に近いのかもしれないと思う時もある――この感情は、幼馴染みには絶対に秘密だ。


澪の一番近くにいて、ずっと守りたいと思うし、笑っていてほしいと願う。

もちろんコイツを泣かせる人物は許さない。

きっと俺の初恋の相手は誰かと問われたら、迷わずに澪だと答えるだろう。


でも、ただそれだけだ。


大事にしたい。

幼馴染みで親友で、妹。

澪は俺にとってそんな存在だ。


呑気な幼馴染みは、俺のそんな思いには全く気がついていないだろう。

恋愛感情なんてものはひとかけらも抱かれていない。

断言できる。

それが不服なわけではないし、その意識を無理やり変えたいとは思わない。

矛盾しているかもしれないが、俺をひとりの男として意識してほしいわけじゃない。


きっと俺たちの距離感はそういうもので、それはきっとこの先の長い人生で変わらないのではないかと思う。

だからこれから先、澪に恋人ができたら嫉妬するかもしれないが、コイツが幸せなら快く送り出す覚悟はある。

その日がいつ来るのかはわからないが、できるだけ遠い未来であってほしいと願うのは自分勝手だろうか。
< 185 / 199 >

この作品をシェア

pagetop