エリート御曹司と愛され束縛同居
「そういや圭太、また別れたらしいじゃない」

「……亜由美、お前の情報網には恐れ入るよ」

「なにそれ、聞いてない!」

「言ってなかったからな、俺から別れたし」

「なんで? ずいぶん可愛い子だったって聞いたわよ」

「……それ、どこ情報だよ」

「圭太って、本気で誰かに恋をしないの?」

垂れ目の二重を何度も瞬きさせながら、幼馴染みは何気なしに問う。


きっとそこに深い意味はないんだろう。


こんな質問をしてくるあたりが澪だ。

心の奥底に隠した俺の気持ちに薄々気づいている亜由美は、ほんの少し困った表情を浮かべている。

「もちろん、そんな相手を探しているよ。でも手のかかる幼馴染みがいるからなあ」

「意味がわからない。圭太の恋愛の邪魔なんてしないわよ」

「冗談だよ。本気で好きな相手に出会ったら頑張るよ」

虚を突かれたかのように焦る澪の頭をクシャリと撫でると、心配そうに俺を見つめ返す。

「その時は言ってね、協力するから!」

「はいはい」

「ねえ澪、携帯鳴ってない?」

「あ、本当。お兄ちゃんからだ」

ちょっとごめん、と言って立ち止まる。

制バッグから携帯電話を探りあて、話し出す澪。
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