エリート御曹司と愛され束縛同居
澪の結婚式が数か月後に迫ったある日、仕事のため帰国した。

もちろん副社長の指示でもある。空港から直接本社へと向かう。


「あら、佐久間くん、久しぶりね。今日帰国予定とは岩瀬さんに聞いていたけど……早かったわね」

秘書室を訪れると、いつもと変わらない様子で津守さんが迎えてくれた。

「お疲れ様です、津守さん」

先輩と澪は現在着々と結婚に向けて準備を進めている。


凪さんからは不機嫌に満ち溢れたメールが度々送られてくる。

きちんとふたりの仲を認めたくせに、やはり可愛い妹を手放すのは寂しいのだろう。

似たような気持ちを俺が抱いていることも知っているに違いない。


ちなみにロサンゼルスにある勤務先でも、女性たちが盛大なショックを受けていた。

海外赴任期間が長い先輩は現地のスタッフからも想いを寄せられていた。

すべてすげなく断っていたせいもあり、難攻不落の王子様扱いをされていたのは記憶に新しい。

もちろん俺は彼が選んだたったひとりの女性について、矢のような質問を受けていた。
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