エリート御曹司と愛され束縛同居
「佐久間の大事な幼馴染みなので、気にかけるのは当然です。それよりそろそろお開きの時間では?」
副社長がにこやかにそう言って自身の腕時計を見る。
そこにはなんの動揺も見られない。私はこんなにも鼓動が暴れて副社長を直視できないというのに。
「あら、本当。もうこんな時間ですね」
津守さんは先程とは打って変わってきびきびと皆に歓迎会の終わりを告げた。この人たちの真意が本当にわからない。
噂になって困らないの? 便宜上で恋人役になっただけでしょ?
社内中に広まったりしたら取返しがつかなくなる。
お酒がまわった頭で難しく考えすぎたせいか、気持ち悪くなってきたが、皆さんに今日のお礼を申し上げ、お見送りをしなければならない。私のために開いてくださったのだから。
最後に副社長が社用車に乗り込んだ時、グイッと腕をつかまれて後部座席に引っ張り込まれた。
抵抗しようにも力の差がありすぎて振りほどけない。
「あ、あの」
「具合が悪いようなので連れて帰ります」
まるで決定事項のように穏やかに言い切る彼に、津守さんが片眉を上げて返事をする。
「……よろしくお願いします」
住居を知っているかのような先輩の口ぶりに嫌な予感しかしない。
「もちろんです」
ニッコリ微笑むこの人は危険なくらいに魅力的だ。
「それでは失礼いたします。岩瀬さん、明日は休日ですし身体を休めてくださいね」
何事もなかったかのように是川さんが挨拶をし、無情にも車が発車する。
よほど緊急事態でもない限り、一介の秘書を送って帰るなんてありえない。いくら私でもそれくらいわかる。
副社長がにこやかにそう言って自身の腕時計を見る。
そこにはなんの動揺も見られない。私はこんなにも鼓動が暴れて副社長を直視できないというのに。
「あら、本当。もうこんな時間ですね」
津守さんは先程とは打って変わってきびきびと皆に歓迎会の終わりを告げた。この人たちの真意が本当にわからない。
噂になって困らないの? 便宜上で恋人役になっただけでしょ?
社内中に広まったりしたら取返しがつかなくなる。
お酒がまわった頭で難しく考えすぎたせいか、気持ち悪くなってきたが、皆さんに今日のお礼を申し上げ、お見送りをしなければならない。私のために開いてくださったのだから。
最後に副社長が社用車に乗り込んだ時、グイッと腕をつかまれて後部座席に引っ張り込まれた。
抵抗しようにも力の差がありすぎて振りほどけない。
「あ、あの」
「具合が悪いようなので連れて帰ります」
まるで決定事項のように穏やかに言い切る彼に、津守さんが片眉を上げて返事をする。
「……よろしくお願いします」
住居を知っているかのような先輩の口ぶりに嫌な予感しかしない。
「もちろんです」
ニッコリ微笑むこの人は危険なくらいに魅力的だ。
「それでは失礼いたします。岩瀬さん、明日は休日ですし身体を休めてくださいね」
何事もなかったかのように是川さんが挨拶をし、無情にも車が発車する。
よほど緊急事態でもない限り、一介の秘書を送って帰るなんてありえない。いくら私でもそれくらいわかる。