初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
だけど、柊哉さんも私と同じように、私の考えが見えずに戸惑っていたのだとしたら?

昨日から気を張りろくに笑顔を見せなかった私を見て、誤解しているかもしれない。

「私が無理をしているように見えたとしたら、それはずっと緊張してたからだと思います。後悔してなんていません」

もしあの顔合わせの席に他の人が来ていたら、私は結婚を決意出来たのかな?

多分、無理。最終的に諦めて結婚に至ったとしても自分の望みを殺してのことで辛い気持ちになっていたと思う。

でも今は、柊哉さんの側にいて、お互いの距離が少しだけ縮んだ気がして嬉しくなっている。

「結婚相手が柊哉さんで良かった。これ本音ですよ」

素直に告げると、柊哉さんはまるで照れたように目を逸らした。

それでも直ぐに立て直したようで、私に穏やかな眼差しを向けて来る。

「ありがとう。俺も香子が結婚相手で良かった」

優しい微笑みに胸が高鳴った。昨夜肌を重ねたときよりも、彼を近くにいるような気がする。

私は思わずくすりと笑った。

「どうした?」

柊哉さんが怪訝そうに問いかけてくる。

「いえ、私達順番が違っているなと思って」

結婚と初夜を済ませてから、会話を始め歩み寄り出すなんて、なんだかおかしい。

それとも政略結婚で夫婦になったふたりは、こういうものなのだろうか。

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