クールな次期社長の溺愛は、新妻限定です
「ですが、彼女に出会って考えが変わったんです。人にとっても生き物にとってもどちらも幸せにするものを作っていけばいいと。経営者として利益を生み出すのは必須ですが、それ以上の誠実さをもって、人にも仕事にも取り組んでいかなければならないと教えられました」

 私は目をぱちくりとさせて亮を見る。すると彼は優しく私を見つめ返した。

「当たり前のことを気づかせてくれる大事な存在です。会社を背負う身としても、一人の人間としてもまだまだ未熟ですが、彼女を幸せにしたいと思っています」

 初めて聞かされる亮の想いに気持ちが追いつかずにいると、さりげなく肩を抱かれた。

「ですから、どうかここも多くの方が大切な存在と訪れる場所として楽しいひとときを過ごしていただければと願っています」

 最後はレストランのコンセプトを入れてのアピールで締めくくり会場は温かい拍手に包まれた。

 目の奥が熱くなるのはきっと緊張のせいだけじゃない。現実味が湧かず、いまだにどこか夢見心地な一方で、触れられた箇所から伝わる亮の温もりは確かに本物だった。

 私、今度こそずっと彼のそばにいてもいいのかな?

 答えをこんな形でもらえるとは、まったく思っていなかった。

 無事にパーティーはお開きとなり、亮に連れられ様々な人に挨拶をした私は、さすがに疲れが隠せずにいた。

 レストランを出たところのスペースで亮と少し休憩していると桑名社長に声をかけられる。
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