クールな次期社長の溺愛は、新妻限定です
「突然すみません。谷川汐里さんですか?」
先に相手から名前を確認され、私は一応、肯定する。
「そう、ですけど……」
「私、桑名美加と申します。いつも亮さんがお世話になっています」
彼女の口から亮の名前が出て、私は大きくドアを開けた。改めて彼女を見る。綺麗な人というのが単純な第一印象だった。
くっきりとした二重瞼に、唇に乗せられたリップはピンク色でゆるくウェーブのかかった髪と合わさると、どこかのモデルと言われても納得できる。
水色の薄手のニットに花柄のフレアスカートという組み合わせは上品そのもので、雰囲気からして私より年上な気がした。
「あの、どちら様でしょうか」
私の問いに彼女はにこりと微笑んだ。
「亮さんから聞いていませんか? 私、彼の婚約者です」
は?と声に出さなかったのは、それ以上に驚きの方が勝ったからだ。信じる、信じないではなく、なにを言われたのか意味を理解するのにしばらくの時間を要した。
固まっている私に桑名さんは次々と事情を説明していく。
亮が株式会社ズプマリーンコーポレーションの社長の息子で、ゆくゆくは後継者として会社を担っていく存在だということ。
彼女自身もクワナ工業株式会社の社長令嬢で、会社同士の繋がりもあって同い年との亮との結婚は前から決まっていたのだと。
与えられる情報はどれも衝撃的で初めて知るものばかりだ。どれくらい把握できたのか。うまく自分の中で処理していけない。
呆然と聞いているだけの私に桑名さんは、憐みを含んだ表情になる。
先に相手から名前を確認され、私は一応、肯定する。
「そう、ですけど……」
「私、桑名美加と申します。いつも亮さんがお世話になっています」
彼女の口から亮の名前が出て、私は大きくドアを開けた。改めて彼女を見る。綺麗な人というのが単純な第一印象だった。
くっきりとした二重瞼に、唇に乗せられたリップはピンク色でゆるくウェーブのかかった髪と合わさると、どこかのモデルと言われても納得できる。
水色の薄手のニットに花柄のフレアスカートという組み合わせは上品そのもので、雰囲気からして私より年上な気がした。
「あの、どちら様でしょうか」
私の問いに彼女はにこりと微笑んだ。
「亮さんから聞いていませんか? 私、彼の婚約者です」
は?と声に出さなかったのは、それ以上に驚きの方が勝ったからだ。信じる、信じないではなく、なにを言われたのか意味を理解するのにしばらくの時間を要した。
固まっている私に桑名さんは次々と事情を説明していく。
亮が株式会社ズプマリーンコーポレーションの社長の息子で、ゆくゆくは後継者として会社を担っていく存在だということ。
彼女自身もクワナ工業株式会社の社長令嬢で、会社同士の繋がりもあって同い年との亮との結婚は前から決まっていたのだと。
与えられる情報はどれも衝撃的で初めて知るものばかりだ。どれくらい把握できたのか。うまく自分の中で処理していけない。
呆然と聞いているだけの私に桑名さんは、憐みを含んだ表情になる。