あやかしの集う和菓子屋にようこそ
京都、数多くの歴史ある仏教寺院などがあるこの国のかつての首都。

小さな商店街に老舗のその和菓子屋はあります。おいしい和菓子が並び、多くの人が訪れる和菓子屋です。

しかし、その和菓子屋はただの和菓子屋ではありません。店主の方も、お客様の一部も……。

夕暮れが近づいてきました。もうそろそろ和菓子屋は閉店する時間です。

「よかった!まだやってる!」

そう言い和菓子屋にやって来たのは、大学生くらいの男性です。私は背すじを正し、「いらっしゃいませ」と頭を下げました。

「なんか急に和菓子が食べたくなっちゃって……。オススメはありますか?」

「では、こちらの水まんじゅうはいかがでしょうか?甘さ控えめの飴が入っていて、とても涼しげな見た目です」

私が説明すると、男性の目は輝きます。

「じゃあ、これ一つください。あと隣にあるくずきりも!」

「かしこまりました」

男性のお会計をし、外までお見送りします。夕焼けが照らす街はいつ見ても切なげです。

「ありがとうございました」

「また来ます!」
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