幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。

 その夜、私たちは、まるで『普通の新婚』のようにベッドの中にいた。

 外でぽつりぽつりと雨音が聞こえる。
 今、何時だろう……? 時間が気になったけど、目に付く場所に時計がない。

 たぶん、3時とか4時とか、そんな時間だと思う。
 少し考えていると、髪をなでられていることに気づく。

 健一郎はずっと起きていたらしい。

「健一郎?」
「何ですか?」
「ううん、なんでもない」

 何を言うつもりだったのだろう。

 でも、今、何を話していいかわかないし。
 言葉がなくても、それでいいような気もした。


 少し沈黙が続いた後、
「すみません、もうなんだか我を忘れてしまって……。身体は大丈夫ですか?」
と健一郎が私に問う。

 つい数時間前までのことが思い出されて、また私は言葉に詰まる。

「ええええっと……」

 正直、何が普通で、なにがおかしいか、だなんて判断できない。
 でも、まぁ……恥ずかしくて死んでしまうかと思ったのは確かだ。
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