幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。

「とれました」

 棚の隙間に落ちていた本は意外にもすんなり取れた。何のために呼ばれたのか全く理解不能だ。
 私がその本を渡すと、ありがとう、と藤森先生は笑う。

「では、私はこれで」

 そう言って、資料室の扉に手をかけた瞬間、おかしなことに気づいた。
 扉が開かないのだ。

(ってここ、例の資料室だ!)

 私は無理だと分かってても、慌てて、何度もガチャガチャと扉の取っ手をひねる。
 しかし、扉はピクリともしない。

(二度目ぇえええええ!)

 慌てる私とは反対に、藤森先生はのんびりした調子で
「あれ? さっきまでストッパーで開けてたのに、誰かが間違って閉めちゃったみたいだね」という。

(冗談じゃない! 藤森先生とこんなところに二人きりでいたくない!)

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