幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。

―――偶然か。必然か。

 ちょうどその日、病院にいたのは、中学生の三波さんだった。
 セーラー服がよく似合っていたが、まだまだ子どもという感じだった。

 久しぶりに見た彼女の横顔をなんとなくてみていた。
 三波さんは、僕には全く気づかず、僕の横を走り抜けていく。

 なんだか、やけに制服が汚れていたし、顔に土はついていたし、手に柿を何個も持っていたのが気にかかり、なんとなくそのあとを追った。

 三波さんは、一つの病室の扉を勢いよく開ける。

「緒川さん! こんにちは!」
「三波ちゃん、どうしたのその傷!」

 中にいたのは、緒川さんと呼ばれた高齢の女性だった。
 緒川さんは驚いたように三波さんの顔を見る。

「庭の柿を取ろうとしたら落ちたの。あ、でも大丈夫だから! ちょっと汚れたくらいで……」
「まぁ、擦り傷。バンソウコウあるわよ。いらっしゃい」

 緒川さんの、困った子供をあやすようなトーンで三波さんに話していて、思わず笑う。

(あれじゃ、どちらが患者なのか分らないな……)

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