幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
「なんでそんなにカメラマンいるのよ!」
「本当は僕が写真をとりたいんですけど、何せ、新郎ですから撮れないでしょう。撮ってもいいのですが全力で止められたので諦めました」
そう言われて、私は健一郎を睨んだ。
当たり前でしょうが! どこの世界に、結婚式で新郎が新婦を激写している夫婦がいるのか。だからといって、カメラマン10人雇うとか、明らかにおかしいんだけど。
だれか、このおかしな人を正してほしいと思ったが、父は頷いて健一郎とまだカタログを見ているし、母に至っては、もっといてもいいわよねーと言いながら、健一郎と父にいただきものの紅茶を出していた。
対して、私に出されたものは、ミネラルウォーターだったのだ……。しかも常温の。
(この家の子どもは私ではなかったのか……?)
健一郎が毎週土曜に佐伯医院に診療にくるようになってからというもの、父と母は以前より健一郎に絶対的な信頼を寄せているし、娘の私より溺愛していないだろうか……。
そういえば、お母さん、健くんみたいな息子が欲しかったのよねーとか言ってたね?
そんなことが頭をよぎる。母は、健一郎と私が土曜に顔を出すと、明らかにウキウキしている。