幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。

 それが分かっているように森下先生は笑う。
「きっと私の方が三波ちゃんの気持ちわかるわよ。女の勘はするどいんだから」
「でも……」
「そうだ。これ、研究室に置きっぱなしにしてたんだけどね、ちょうどいいと思って持ってきた」
 そういって、ロッカーの荷物から森下先生は一冊の雑誌を取り出した。某有名ファッション誌だ……。
「なんですか?」
「『魅惑的な身体になるためのエクササイズ』特集」
「ぶっ! い、いりませんよ!」
 思わず吹きだす。

(魅惑的ってなんだ!)

 見てみると、表紙を飾るモデルの女性は、確かに魅惑的な身体をしている。
 女性でも、ごくりとつばを飲み込むほどに。

「それにこの人……」
「どうしたの?」
「いいえ」

(ちょっと、桐本先生に似てる……)
 そう思ってまた表紙を見る。多分だが彼女もこんな感じだ。

「はい。じゃ、ぜひ持って帰って!」
 そう言って、森下先生にカバンの中にそれを無理矢理に入れられた。私はため息をつくと、ありがとうございます、と呟く。
 森下先生は、頑張って! となぜか私を励ました。
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