無邪気な彼女の恋模様
***

ワークルームの仕事中、相変わらず陽気に水戸さんが話しかけてくる。
でも波多野さんが一喝してくれたおかげで、前のような馴れ馴れしさはなくなった。
私も慣れてきたのか、適当に相づちを打てるようになってきたのかもしれない。
ワークルームの手伝いに行くことが決まったとき波多野さんは渋い顔をして懸念していたけれど、意外と上手くやれていると思う。
我ながら成長したもんだ。

ワークルームの業務を終え片付けをして部屋を出ると、ちょうど木村さんが見回りに来たところだった。

「あれ?もう終わり?」

「はい、今日は少なめだったのでもう終わりました。」

「来るのが遅かったね、ごめんね。」

「いえ。」

「じゃあ悪いけどもう少し手伝ってくれる?」

「はい?」

そう言って木村さんは別の会議室へ入っていくので、私は後を追った。
会議室内には数種類の書類が山になって置いてあり、ホチキスも準備してある。

「これをセットにしてホチキスで留めてほしいんだ。」

「わかりました。」

私は端的に答えるとすぐさま作業に取りかかった。
隣では木村さんも手を動かしている。
しばらく黙々と作業に没頭した。

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