桜が散る頃君はいない

〜千花〜

「…!」

正直、彼とは初めてあった感じじゃなかった。

「はい…!」

それから、3ヶ月すごく楽しい日々だった。

2月13日。

「これでよし!」

千花はバレンタインのチョコを作っていた。

けど、そのチョコは原型を留めていなくて…。

残念にほど近いものだった。

それから何度も何度も作り直した。

「なんでー…!せっかく柊に可愛いの作ろうと思ってるのに…。」

徹夜してやっとできた薔薇の形をしたチョコ。

そこに込められた思いは…

2月14日。

「柊!」

「ん?」

「はいこれ!バレンタイン!」

「おお!開けていい?」

「うん!」

ピンクやホワイト、レッドの色とりどりな薔薇のチョコをみて、柊は直ぐにわかった。

「頑張ったな。」

「全然!」

その日は、異様に千花の口数が少なかった。

昨日徹夜したってのが目の下のクマを見たらわかったからそのせいだと思った。


なんだかすごく苦しい。

昨日徹夜したから目不足のせいかなって思った。

その日は、早退して家に帰った。

お母さんは専業主婦だから、いつでも家にいる。

「ただいま…。」

「おかえりー?どうしたの?」

「なんか、苦しくて…」

「どこらへんが?」

「体全体が動かしにくい…。」

最初は、少し息がしずらい程度だったけど、

どんどん体が鉛みたいに重くなっていった。

お母さんは、私のことを心配してくれて、病院まで連れていってくれた。

「特に異常は見当たりませんね。風邪ですかね?」

「そんなわけない!お願い先生!もう1回見て!」

風邪なんかじゃない。

もっと、すごく悪いものな気がする。

それから、何度も何度も精密な検査をした。
< 4 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop