ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物
……そういえば、外国では、「いただきます」と「ごちそうさま」に該当する言葉がない。
「ふぅん?何に感謝するの?神?振る舞ってくれたヒト?」
リタにそう聞かれて思い出した。
もっと小さかった時、大好きな孝義くんから教わったことを。
「そのどちらも含まれるけど、それプラス、調理してくださったかたへの感謝、作物を育ててくださったかたへの感謝、それから作物そのものに対する『あなたの命をいただきます。ありがとう。』っていう感謝の気持ち。」
言葉にすると、涙が出そうになった。
「……なるほど、そういう意味も含まれるのですか。」
ティガにとっても、初耳な部分もあったらしい。
「まいらは、年齢以上に知識が豊富で、落ち着いていますね。非常に興味深い。イザヤどのはご不在ですが、少し込み入ったお話も聞けそうですね。答えられる範囲で答えてくださいますか?」
……ん?
ティガの言葉が命令形じゃなくなった気がする。
情報を提供すれば待遇がよくなる、ってこういうこと?
「わかった。私も質問していい?できたらこの世界のことをもっと知りたい。」
そう言ったら、ティガはニッコリ微笑んで
「いいですよ。まいらがスパイじゃないなら、何でも教えてさしあげましょう。」
と言った。
「はーい!じゃあ、まず、太陽。この世界では太陽はどの方角から上がって、どこに沈むの?それから、月はいくつあるの?」
私の質問は、ティガにもリタにも、突拍子なく思えたらしい。
「そんなこと?」
リタが突っ込み、ティガは作り笑顔ではなく、本当におかしかったらしく声をあげて笑った。
「幾人もの異世界人の取調記録を読みましたが、まいらは、かなり変わってるようですね。」
ティガはそう言ったけど、太陽や月、星を見ることで方角を知ることができる。
いずれこの館から出る日もあるだろうし、逃げ出さなければいけない事態にならないとも限らない。
身を守るために、まず大事なことだと思うんだけど……。
「2つの太陽はその位置を変えながら移動します。しかし、法則性は証明されていません。月はありません。100年ほど前までは存在したと記録されていますが、爆発したようです。現在は、月の欠片がぐるりと帯状にこの惑星を取り巻いています。まいらの世界で言う『土星』という形に近いようです。」
「ふぅん?何に感謝するの?神?振る舞ってくれたヒト?」
リタにそう聞かれて思い出した。
もっと小さかった時、大好きな孝義くんから教わったことを。
「そのどちらも含まれるけど、それプラス、調理してくださったかたへの感謝、作物を育ててくださったかたへの感謝、それから作物そのものに対する『あなたの命をいただきます。ありがとう。』っていう感謝の気持ち。」
言葉にすると、涙が出そうになった。
「……なるほど、そういう意味も含まれるのですか。」
ティガにとっても、初耳な部分もあったらしい。
「まいらは、年齢以上に知識が豊富で、落ち着いていますね。非常に興味深い。イザヤどのはご不在ですが、少し込み入ったお話も聞けそうですね。答えられる範囲で答えてくださいますか?」
……ん?
ティガの言葉が命令形じゃなくなった気がする。
情報を提供すれば待遇がよくなる、ってこういうこと?
「わかった。私も質問していい?できたらこの世界のことをもっと知りたい。」
そう言ったら、ティガはニッコリ微笑んで
「いいですよ。まいらがスパイじゃないなら、何でも教えてさしあげましょう。」
と言った。
「はーい!じゃあ、まず、太陽。この世界では太陽はどの方角から上がって、どこに沈むの?それから、月はいくつあるの?」
私の質問は、ティガにもリタにも、突拍子なく思えたらしい。
「そんなこと?」
リタが突っ込み、ティガは作り笑顔ではなく、本当におかしかったらしく声をあげて笑った。
「幾人もの異世界人の取調記録を読みましたが、まいらは、かなり変わってるようですね。」
ティガはそう言ったけど、太陽や月、星を見ることで方角を知ることができる。
いずれこの館から出る日もあるだろうし、逃げ出さなければいけない事態にならないとも限らない。
身を守るために、まず大事なことだと思うんだけど……。
「2つの太陽はその位置を変えながら移動します。しかし、法則性は証明されていません。月はありません。100年ほど前までは存在したと記録されていますが、爆発したようです。現在は、月の欠片がぐるりと帯状にこの惑星を取り巻いています。まいらの世界で言う『土星』という形に近いようです。」