ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物
ティガはそう説明してくれたけど、

「なに?意味わかんない!太陽が沈めば夜、それでいいんじゃないの?月?土星?なに?それ。」

と、リタには全く意味をなさない質問だと思われたようだ。



「まいらって、変なことに興味あるのね。ティガと話が合いそう。」


リタにそう言われて、私は苦笑した。


変人だと思われたみたい。


……私もいつもお母さんのことを変なヒトと思っていたけれど……考えてみれば、自分の興味を持てないことを追求してるから理解しようとしなかっただけなのかもしれない。


お母さんのお話、もっとたくさん聞けばよかったかな。

まだ、間に合うだろうか……。


***

その日はずっと、ティガと情報交換をした。


リタが合間に飲み物や食べ物を持ってきてくれたけど、どれも普通に美味しかった。




「ところで、リタの髪型、私には斬新なんだけど……こっちでは普通なの?」


たぶん午後のティータイムに当たるのだろう。

紅茶や数種類のお菓子を一緒につまみながら、そう聞いてみた。



「んー?普通……ではないかな。みんなもっと長いよ。男も女も。」



……じゃあ、どうしてリタだけ、その斬新な髪型をしてるの?

とは、聞けなかった。



こんなに明るいのに、やっぱり、私には、どこか痛々しく感じる。



「そっか。みんな髪長いんだ。色も、私の世界とは違うみたい。……パーマとか、カラーリングとか、あるの?」



ぱあま……と、リタはオウム返しに呟いた。


通じてないみたい。


ティガが、代わりにニコッと笑って答えてくれた。

「パォームのことですね。概念と技術は、ステーツから来た異世界人に教わりました。が、薬品がありませんので、実現化はされてません。」


……夕べアメリカって言ったのに、今日はステーツって言ってるよ、ティガ。


意味わかった上で使い分けてるのかな?

それとも、別の国だと思ってる?……そんなわけないか。


じゃあ、私の反応を調べてるのかな?



思惑がわからないので、とりあえず、素直に聞いてみた。


「ステーツって……アメリカ?」


「そう!アメリカ!」

リタが、キラキラと瞳を輝かせて、食いついた。



わー。

瞳がますます明るい黄色っぽく光ってるよ。

なんて生命力に溢れた瞳なんだろう。
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