ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物
「……お気になさらずとも、みな、イザヤどのの御帰館を喜ぶでしょうに。……私のほうは、いつでも館を出られますので、どうぞ、期日をお決めください。」
「え?リタは?あそこで出産するんじゃないの?」
つい口を挟んでしまった。
ティガの表情に血が通った。
「さて。どうなりましょうか。……私と入れ違いで、ドラコに館へ行ってもらいました。今頃2人で今後のことを話し合っていることでしょう。」
「あ……そうなんや……。」
何となく、ホッとした。
ドラコ、ちゃんとリタと向き合ってくれるよね?
いい方向に事が運べばいいな。
「……まあ……そちらのご事情もございましょう。どうぞ、ごゆるりと。……それでは、わたくしたちは、これで。……せっかくここまで参りましたので、北方の御料地を見て帰りますわ。」
……北方って、レアダンスモレン湖の北側よね。
早くも軍事拠点となる館を建てる立地の下見だろうか。
ちらりとティガを見た。
ミシルトの辞去をティガは微笑で受け流していた。
大人な挨拶を交わす2人と対照的に……イザヤは、私に何か言いたそうで……でも何も言えないらしく……触れたそうで、触れるわけにもいかず……悶々としていた。
既に部屋を出ようとしているミシルトに呼ばれ、ようやくイザヤは諦めたらしい。
「……ティガ、まいらの傷が癒えるまで、薬を怠けず全身に塗るよう、侍女に伝えてくれ。」
私ではなく、ティガにそう言い残して、イザヤは行ってしまった。
2人を見送るため、ティガも一旦部屋を出て行った。
……独りになったら、ちょっと涙が出た。
イザヤに甘えられないことが悲しいのか……イザヤとミシルトが夫婦だということを再確認してしまって悲しいのか……自分でもよくわからなかった。
「……追い返さないほうが、よかったでしょうか。」
戻ってきたティガは、私の顔をみるなり、そう問いかけた。
私は、ふるふると首を横に振った。
「ううん。ありがとう。……息が詰まりそうやったから……これでいい。」
「……そんなに酷い怪我を負って……心も身体も、ずいぶんと傷ついたようですね。……気は、済みましたか?」
改めてそう聞かれて、私は、すんと鼻をすすった。
「……どやろ。まだよくわからんけど……今は、イザヤとミシルトを……見てたくないかも。……ミシルト、嫌いじゃないんやけど。……イザヤの奥さんじゃなかったら、仲良くなれたと思う。……ティガに似てる気がしたよ。」
「え?リタは?あそこで出産するんじゃないの?」
つい口を挟んでしまった。
ティガの表情に血が通った。
「さて。どうなりましょうか。……私と入れ違いで、ドラコに館へ行ってもらいました。今頃2人で今後のことを話し合っていることでしょう。」
「あ……そうなんや……。」
何となく、ホッとした。
ドラコ、ちゃんとリタと向き合ってくれるよね?
いい方向に事が運べばいいな。
「……まあ……そちらのご事情もございましょう。どうぞ、ごゆるりと。……それでは、わたくしたちは、これで。……せっかくここまで参りましたので、北方の御料地を見て帰りますわ。」
……北方って、レアダンスモレン湖の北側よね。
早くも軍事拠点となる館を建てる立地の下見だろうか。
ちらりとティガを見た。
ミシルトの辞去をティガは微笑で受け流していた。
大人な挨拶を交わす2人と対照的に……イザヤは、私に何か言いたそうで……でも何も言えないらしく……触れたそうで、触れるわけにもいかず……悶々としていた。
既に部屋を出ようとしているミシルトに呼ばれ、ようやくイザヤは諦めたらしい。
「……ティガ、まいらの傷が癒えるまで、薬を怠けず全身に塗るよう、侍女に伝えてくれ。」
私ではなく、ティガにそう言い残して、イザヤは行ってしまった。
2人を見送るため、ティガも一旦部屋を出て行った。
……独りになったら、ちょっと涙が出た。
イザヤに甘えられないことが悲しいのか……イザヤとミシルトが夫婦だということを再確認してしまって悲しいのか……自分でもよくわからなかった。
「……追い返さないほうが、よかったでしょうか。」
戻ってきたティガは、私の顔をみるなり、そう問いかけた。
私は、ふるふると首を横に振った。
「ううん。ありがとう。……息が詰まりそうやったから……これでいい。」
「……そんなに酷い怪我を負って……心も身体も、ずいぶんと傷ついたようですね。……気は、済みましたか?」
改めてそう聞かれて、私は、すんと鼻をすすった。
「……どやろ。まだよくわからんけど……今は、イザヤとミシルトを……見てたくないかも。……ミシルト、嫌いじゃないんやけど。……イザヤの奥さんじゃなかったら、仲良くなれたと思う。……ティガに似てる気がしたよ。」