ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物
オースタ島に到着した時には、イザヤは私より鳥の伊邪耶を優先した。

たった半日で、イザヤとの距離がぐーんと近づいたのを実感する。


何となくイイ気分で、再び手を差し伸べてくれたイザヤにしっかり掴まって桟橋に上がった。


イザヤは、いかにも丁重に、館まで私をエスコートしてくれた。


ティガは手紙を2通持ったまま、心のこもらない微笑を貼り付けてついてきた。

怖いんですけど……。




館に入ると、イザヤは胸から鳥の伊邪耶を出して、出迎えた執事さんに言った。

「私の部屋の隣室を、まいらの部屋にしつらえてくれ。すぐに、だ。それから、こいつの世話も頼む。日に3度の掃除と餌の管理を徹底するように。」

隣!?


執事さんがすぐに 女性のお部屋係さん達に指示すると、館内が慌ただしく動き出した。


「隣って……」

まさかとは思うけど、さっき胸を触られてたのは、今夜の下調べだったんじゃないよね?


「不満か?同じ部屋がよかったか?」

イザヤはとんでもないことを言った。


「いや、いいです。」

慌てて手を振って断った。


……鍵かけて寝なきゃ。




「イザヤどのは、まいらをどうなさる気ですか?」

それまで黙っていたティガが、低い声で聞いた。


「どう、とは、どういう意味だ?」

イザヤの瞳が冴え冴えと好戦的に光った。


「いえ。……いや、しかし、隣の部屋というのは……まいらを側室にするということに他なりませんが。」


ふん!とイザヤは鼻で笑った。

「未成熟な今のまいらに手を出すほど、私は女に不自由してない。」



……わかってるのに、ちょっと傷ついた自分に動揺した。



「失礼しました。」

ティガは慇懃無礼に頭を下げた。


イザヤはニヤリと笑って付け足した。

「機が熟すまで、待つ。そのつもりで、丁重に頼む。」


……わ~~~。


どんな顔してればいいのかわからず、私は心の中でジタバタしていた。





「ティガ。まいらの家庭教師をしてやってくれないか。この国の学問を前向きに学びたいらしい。」

唐突にイザヤは言った。


慌てて、私もティガにお願いした。

「お手数かけるけど、よろしくお願いします。まずは文字から教えてもらえるとうれしいんやけど。」



すると、ティガは柔らかくうなずいて、階段を見上げて少し声を張った。
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