ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物
「リタ!ちょうどいいから、文字だけでも、まいらと一緒に学びなさい!」


バタバタと音をたてて、リタが階段を駆け下りてきた。


「がさつな奴。おい、ティガ。行儀作法も教えてやれ。うるさくてかなわん。」


舌打ちしてイザヤがそう言うと、リタは思いっきり顔を歪めてイザヤを睨み付けた。


「てゆーか!何なん!?ちょっと!?まいら!?シーシアさまがいらっしゃるのに、愛妾気取り!?そんなの、私、認めないから!」

途中から、リタの怒りの矛先は私に向いた。


真剣に怒られてしまった。


でも、ティガがやんわりとリタをたしなめた。

「リタ。口が過ぎます。まいらは、既に不審者でも、スパイ容疑者でも、ましてやリタの友達でもありません。イザヤどのが正式に部屋を与えた女性です。わきまえなさい。」


正式に部屋を与えた女性……。

重いわ、その称号。

つまり、側室……。

ほんとに、側室なんだ……。


……あはは……マジか……。



「最低!!!」

リタはそう叫んで、階段を駆け上がってしまった。


「最低……か。」

仲良くなれると思ってたリタに詰られるのは、かなりきつい。


しょんぼりしてると、ティガが謝ってくれた。

「失礼しました。シーシアさま敬愛の余り、まいらに反感を抱いたようです。……あとで、因果を言い含めます。」

「ううん。気持ち、わかるから。突然こんな……びっくりするよね。……リタのこと、怒らんとってね。」

慌ててそう言ってみたけど、とても浮上できそうになかった。


***

その夜から、本当に私の待遇が変わった。

着替えもお風呂も排泄の処理も、侍女がくっついてきて、全てやってくれた。

食事は、イザヤと同じテーブルのはす向かいに案内された。


「館で誰かと食事するのは久しぶりだ。」

家族のいないイザヤは、本当にうれしそうだった。


……確かに、今朝まではティガとリタと一緒に別の部屋で食べてたけど……そういう決まりだったのか。


「ティガとリタは、いつからココに滞在してるの?一緒に食べないの?」


そう尋ねると、イザヤは肩をすくめた。


「母の葬儀に参列してそのまま居着いた形だな。婚約者どのが来られるまでは、あの2人は客人だ。共に食事するとなると、毎食が午餐会、晩餐会になってしまう。家の者達に余計な負担をかける。私やティガはともかく、リタは窮屈過ぎて嫌がるだろうしな。」
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