ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物
「うん。私もやってみたい。ティガ。リタの後で、相手してくれる?」

そう言って、リタにニッと笑いかけた。


2対1で、続けてやり合えば、そのうちにティガも疲れてしまうだろう。

その頃には、リタと私もコツを覚えて、危なげなく打ち合えるかもしれない。



「……わかりました。では、念のために刃と剣先を布で巻きましょう。」

ティガは渋々そう言った。


布をぐるぐる巻いた剣は、重くてバランスが悪くなってしまった。

私よりも華奢なリタは、剣に振り回されてしまっているように見えた。

ただ、リタは私よりずっと身軽でしなやかに動けるようだ。


ティガの教科書通りな太刀筋から、動物のように逃れては、剣を振るってよろけていた。


……リタに必要なのは、腕力かな。

そして、私に足りないものは、剣の特性を知ること。


武器なんか、扱ったことがないもん。

それだけ日本が平和で幸せだったことに、こうして剣を交えてみて、今さら気づいた。



ティガの剣は軌跡まで見えるけれど、私自身が剣をどう使って受ければいいのか、振るえばいいのか、迷いが生じた。


「ごめん。ティガ。待って。こういう時はどうすればいいの?」

私は疑問が生じると逐一止めて、教わった。


待っているリタには申し訳なかったけれど、ここは譲れない。

むしろリタも一緒に勉強すればいいと呼んでみたけれど、無視されてしまった。

……完全に拒絶されちゃってるなあ。



しばらくすると、ティガが音を上げた。



「じゃあ、リタ。やろうか。」

私のほうから誘うと思わなかったらしく、リタはちょっと目を見張って、それから口をへの字に結んでうなずいた。

「いいですか?相手を傷つけることが目的ではありませんからね。リタ。騎士道精神にのっとって……リタ!!!」


ティガの言葉が終わらないうちに、リタが私に突進して来た。


ごめん、ティガ……リタのほうがティガより速いし、強そう。

でも、全然平気。

大きすぎる剣の振り下ろしは、よけるのも、払うのも簡単だ。


一番効果的なのは……ものともせずに、反撃!


素早く突き込んで、リタの喉元で剣先を寸止めした。

リタは、慌てて飛びよけた。


綺麗なジャンプだなあ。

しなやかな筋力がうらやましい。

私もがんばってストレッチとかしてるけど……しなやかとはとても形容できないだろう。

剛直?

剛健?


……こういうのって性格なのかな。
< 53 / 279 >

この作品をシェア

pagetop