ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物
そしてガボーイは諦めたらしく、別の笛を持ってきた。
あ!
「リコーダー!」
イザヤが持ってきたのは茶色い木製のソプラノ・リコーダーだった。
「……フリェーイタともリコーダーとも言うらしい。まいら、知ってるのか?」
私はこくこくっと首を何度も縦に振った。
「吹ける!学校でやってるもん。てか、けっこう得意。」
と、小学生レベルでしかないことを忘れてそう言ってしまった。
「ほう。」
イザヤの目がキラリと光った。
やばい。
「いや。楽譜通りに吹けるだけで……装飾音とか入れるセンスはないよ?」
慌ててそう言ったけど
「よい。楽譜通りに吹いてみよ。」
と、テレマンを渡された。
リコーダー・ソナタ集。
「え?今?……後日にしない?」
いくらなんでも初見でヒトに聞かせられるほど、私は器用じゃない。
クラヴィシンの楽譜を見せて、イザヤにお願いした。
「こっちにしよ。これなら毎日お稽古してるし、ミスタッチも少ないし。お願い!」
イザヤは不満そうだったけど、渋々了承してくれた。
……ほっ。
はっきり言って、私の音楽はお稽古して、やっと楽譜通りに弾けるレベルでしかない。
でもイザヤは、たぶん……かなり器用で巧い。
すぐに自分のものにするし、かっこよくその場でアレンジしちゃうし、心に沁み入る曲を奏でられちゃうヒト。
……音楽の天才なのかもしれない。
その夜のイザヤは、本当に神がかって美しかった……もとい、巧かった。
私の伴奏が邪魔じゃないのかな、って心配になるぐらい、イザヤのリコーダーは鳴いていた。
ぼんやりと白い夜は夢のように幻想的で、笛の音は神々しい響きを奏で……ドラコは涙を流した。
さすがにびっくりしたわ。
でもイザヤは慣れっこらしく、気にする様子もなく、一人アンコールを始めた。
私も弾くのを辞めて、イザヤのリコーダーにじっと耳を傾けた。
学校で吹いてるリコーダーと同じ楽器とは思えない。
哀愁を帯びた優しい響きは、確かに戦いに疲れ傷ついた兵士の心を癒すのだろう。
しばらくすると、イザヤは水に漬けていたリードを口に咥えた。
そして、ガボーイと言っていた楽器にリードをつけた。
……オーボエやん。
正確には、バロックオーボエ、だと思う。
オーボエほどキンキンはしてないけど、突き抜けた心地よい高温がパァーンと響く。
あ!
「リコーダー!」
イザヤが持ってきたのは茶色い木製のソプラノ・リコーダーだった。
「……フリェーイタともリコーダーとも言うらしい。まいら、知ってるのか?」
私はこくこくっと首を何度も縦に振った。
「吹ける!学校でやってるもん。てか、けっこう得意。」
と、小学生レベルでしかないことを忘れてそう言ってしまった。
「ほう。」
イザヤの目がキラリと光った。
やばい。
「いや。楽譜通りに吹けるだけで……装飾音とか入れるセンスはないよ?」
慌ててそう言ったけど
「よい。楽譜通りに吹いてみよ。」
と、テレマンを渡された。
リコーダー・ソナタ集。
「え?今?……後日にしない?」
いくらなんでも初見でヒトに聞かせられるほど、私は器用じゃない。
クラヴィシンの楽譜を見せて、イザヤにお願いした。
「こっちにしよ。これなら毎日お稽古してるし、ミスタッチも少ないし。お願い!」
イザヤは不満そうだったけど、渋々了承してくれた。
……ほっ。
はっきり言って、私の音楽はお稽古して、やっと楽譜通りに弾けるレベルでしかない。
でもイザヤは、たぶん……かなり器用で巧い。
すぐに自分のものにするし、かっこよくその場でアレンジしちゃうし、心に沁み入る曲を奏でられちゃうヒト。
……音楽の天才なのかもしれない。
その夜のイザヤは、本当に神がかって美しかった……もとい、巧かった。
私の伴奏が邪魔じゃないのかな、って心配になるぐらい、イザヤのリコーダーは鳴いていた。
ぼんやりと白い夜は夢のように幻想的で、笛の音は神々しい響きを奏で……ドラコは涙を流した。
さすがにびっくりしたわ。
でもイザヤは慣れっこらしく、気にする様子もなく、一人アンコールを始めた。
私も弾くのを辞めて、イザヤのリコーダーにじっと耳を傾けた。
学校で吹いてるリコーダーと同じ楽器とは思えない。
哀愁を帯びた優しい響きは、確かに戦いに疲れ傷ついた兵士の心を癒すのだろう。
しばらくすると、イザヤは水に漬けていたリードを口に咥えた。
そして、ガボーイと言っていた楽器にリードをつけた。
……オーボエやん。
正確には、バロックオーボエ、だと思う。
オーボエほどキンキンはしてないけど、突き抜けた心地よい高温がパァーンと響く。