クールなオオカミの過剰な溺愛



「あーあ、どうしようか夏原さん」


口角を上げて笑う彼に、優しさなど微塵も感じられない。

単なる悪魔の笑みである。



「俺たち、ただの同級生じゃなくなったね」
「そ、れは…水瀬くんが」

「抵抗しなかった夏原さんも夏原さんだけど」
「……っ」


そんなの“抵抗する”という前に思考がストップしていたのだから仕方がない。

慌ててキスされた事実を消そうと、手の甲で唇を何度も拭ったけれど。



「必死だね」
「さ、いてい…!」


さすがの私もこれには怒り、きつく睨みつけてやるけれど。

水瀬くんの余裕な表情は依然として変わらない。


「俺はただふたりの関係を壊してあげようとしてるだけ。俺なりの優しさだよ?素直に受け取って」

さすがの私も我慢の限界で、気づけば彼の頬に平手打ちを食らわせていた。

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