クールなオオカミの過剰な溺愛
「私といたところで楽しくないよ?」
「でも夏原さんは優しいからいてくれるよね」
だからその捨てられた子犬のように見つめないでほしい。
こんなのスルーできないではないか。
「も、もうわかったから…!
帰らない、まだ帰らないから!ね?」
目の前にいる水瀬くんは私にキスしてバカ扱いした挙句、さっきも迫ってきた男だぞ。
それなのにどうして了承したのだこのバカ。
「ありがとう。
単純な子は楽で助かるよ」
「……っ、やっぱ帰…」
「残念だけど二言はないよ?」
完全に罠だった。
捨てられた子犬のような表情は何処へやら、今は悪魔のような笑みを浮かべて私の腕を掴んできた彼。
「まだ何か…!?」
「嫌だな、もう手は出さないから安心して?」
そんなの安心できるはずがない。
水瀬くんは人を弄ぶことが大好きなのだから。