クールなオオカミの過剰な溺愛






何だろう、温かい。
素直にそう思った。


「……さ、起きろ」


誰かの声が聞こえてくる。
聞き慣れた声。


「ん…」

ゆっくりと確かめるように目を開ければ、視界いっぱいに映る煌哉の顔。


「……ぎゃあ!?」

思わず彼の体を押しのけて、お決まりである壁に背中をつける動作をした。


「うわ、危ねぇな」
「な、な、な、なんで煌哉が…!?」

慌てて寝る前の状況を思い出す。
確か私は眠気がピークに達して───


「……っ、あの、煌哉…」
「なんだよ」

「ごめんなさい」


完全に思い出した。

私の意思で寝たというのに、せっかく起こしてくれた煌哉を咄嗟に押しのけたのだ。


「普通に30分すぎてるから」
「……え」

「もう2時間経ってる」
「う、嘘だ!?」


慌てて部屋に飾ってある時計を確認すれば、もう17時を過ぎようとしていた。

< 270 / 300 >

この作品をシェア

pagetop