クールなオオカミの過剰な溺愛
*
何だろう、温かい。
素直にそう思った。
「……さ、起きろ」
誰かの声が聞こえてくる。
聞き慣れた声。
「ん…」
ゆっくりと確かめるように目を開ければ、視界いっぱいに映る煌哉の顔。
「……ぎゃあ!?」
思わず彼の体を押しのけて、お決まりである壁に背中をつける動作をした。
「うわ、危ねぇな」
「な、な、な、なんで煌哉が…!?」
慌てて寝る前の状況を思い出す。
確か私は眠気がピークに達して───
「……っ、あの、煌哉…」
「なんだよ」
「ごめんなさい」
完全に思い出した。
私の意思で寝たというのに、せっかく起こしてくれた煌哉を咄嗟に押しのけたのだ。
「普通に30分すぎてるから」
「……え」
「もう2時間経ってる」
「う、嘘だ!?」
慌てて部屋に飾ってある時計を確認すれば、もう17時を過ぎようとしていた。